相模原市へのLRT(路面電車)を考えながらやはり気になったのが、流行りの費用対効果、収益。

公共投資は無駄!箱物行政するな!という社会的な風潮が根強い。
その安易な批判に巻き込まれ、例えば図書館の整備、保育支援施設…といった本来行政サービスならではの政策も経費削減の犠牲ともなっている、

行政政策、サービスを効率的に運用する指標として費用対効果、採算性を検討されるのは当然とはしても、果たして費用対効果を重視するのはどうなのか?とも疑問に思うことがある。

都市の魅力とは何だ?と言う疑問にもなるし、都市間競争も想起してしまう。
ある人は文化的な街を夢見、ある人は利便性第一の街を望み、ある人は全て!とも言う。
行政政策は当然にして誰からも批判されない普遍的な政策を取らざるを得なくなり、どこの市町村も似たような街並み、サービスとなっていく。

景観的な街の魅力に対する投資をどう評価すべきなのか?目に見える形では地価の上昇、小売売上高のアップなどといった費用対効果だけで評価すべきなのか?

費用対効果だけの論法でいくと、魅力的な街、都市間競争は都心中心からの利便性がより重視されていくようになる。

相模原市は都心からの利便性では不利であり、魅力的な、他の首都圏の核都心とは異なる街づくり、魅力を築けなければ埋没してしまうだろう。
あくまでも保守的な都市政策を市民が望むなら、内部完結型、つまり雇用を創出する工場などの誘致、市内への引き留めを重視せざるを得ない。

守りに入ったら、失敗を恐れたら何も改善されない。発展は望めない。
このあたりは民主主義の限界のようにも思えるが、批判的になるのではなく寛容な心を持つのも市民の義務であるとも思う。

完璧な図面、設計をした!と考えていても、実際に完成して利用されないと分からない部分も多い。

例えば、あるマンションでは歩行者専用道を綺麗に完璧に設計施工され完成したが、わずか数秒早く歩くために植樹帯がショートカットとして横切られ抜け道となり、現在はブロック舗装されるに至っている。
こうした事例は多く、ここまで予測して設計施工しろ!というのは酷な話だと思う。

橋本駅南口の改良工事を見てると、細かい配慮まで考えながら、通過交通、一時利用者、バス、タクシー利用者の最適解を模索しているのが伝わってくる。

行政を批判的な視点ばかりで評価する時代はもう終焉にしなければならない。